ChatGPTを活用したコミュニケーション・プラットフォームとしての箱庭構想


近年、生成AIの技術が急速に進化し、多くの産業や日常生活に大きな変化をもたらしています。その中で、ChatGPTという名前を耳にすることが増えてきたのではないでしょうか。今回は、ChatGPT(生成AI)を活用した箱庭の取り組みについてお話ししたいと思います。

箱庭プラットフォーム構想

これ、箱庭のプラットフォーム構想です。

箱庭では、6つの視点でプラットフォーム化を推進しています。この中で右上にある「コミュニケーション」部分が、今回の話題の中心になります。

箱庭では、分野の異なるエンジニアがワイワイ集まって、同じ土俵で、同じ風景をみながら開発します。

そんな中で、エンジニア同士がコミュニケーションを始めると、以下のような会話のギャップが想像できます。

Web系エンジニア: 「クラウドでのデプロイは本当に効率的だから、次回のプロジェクトでは取り入れたいんだけど、どう思う?」

組み込み系エンジニア: 「デプロイって、そもそも何?うちのハードウェアに焼き込むのと同じこと?」

Web系エンジニア: 「いや、そうではなくて、アプリを実際の動作環境に公開することですね。クラウドを使えば、開発スピードが格段に上がるんですよ。」

組み込み系エンジニア: 「ハードウェアの動作確認とか、テスト環境での検証とか、そういうのはどうするの?」

Web系エンジニア: 「クラウド上でそれも全部やればいいじゃん。リアルタイムでフィードバックも得られるし、問題ないですよ。」

組み込み系エンジニア: 「いやいや、ハードウェアとの連携や動作確認はクラウドじゃできないって言ってるんです・・・。物理的なテストも必要ですし。」

Web系エンジニア: 「でも、それって効率的じゃないし、時代遅れじゃない?」

組み込み系エンジニア: 「クラウドだと効率的かもしれないけど、ハードウェアの世界では現実的じゃない。それに、そんなスピードで進められないよ。」

Web系エンジニア: 「だったら、新しい方法を取り入れないと進化しないよ。」

組み込み系エンジニア: 「新しい方法もいいけど、現実的な問題解決も必要だよ。早く作るより品質の方が大事なんです。」

このような会話のギャップが生じているのは、分野ごとに気にしているポイントが違うために生じるケースが多いと思います。

例えば:

Web系エンジニア:

  • スピード重視: Webアプリケーションやサービスは、競合との差別化やユーザーのニーズに迅速に対応するため、迅速なリリースサイクルが求められます。
  • 柔軟性: 不具合が発見された場合や新しい機能を追加する場合、クラウド上で簡単に更新やデプロイを行うことができます。
  • CI/CD: 継続的インテグレーションや継続的デリバリーを利用して、品質を維持しつつ、高速に開発・デプロイを進める文化があります。

組み込み系エンジニア:

  • 安全・信頼性重視: 組み込みシステムは、車や医療機器など、人の命や安全に関わる製品に使用されることが多いため、安全性や信頼性が非常に重要です。
  • ハードウェアとの連携: 物理的なハードウェアとの相互作用があり、リアルタイムでの動作や応答が求められることが多いです。
  • 更新の難しさ: 一度リリースした製品のファームウェアの更新は、ユーザーに手間をかけることが多いため、最初から高品質な製品を提供することが求められます。

同じ土俵で同じ風景でといっても、こういう背景があるとなかなか難しいですよね。そもそも文化が違いすぎる。

これは、エンジニアの職制の視点でのギャップですが、個々人の性格や価値観に起因するギャップもあると思います。

箱庭では、そのようなコミュニケーション・ギャップを解消するためのプラットフォーム構想を検討しているのです。

箱庭AIバディ

これが、その構想です。

図の真ん中に「AI バディ」というのがありますが、これAIエージェントでして、エンジニア間のコミュニケーションを円滑化するための仕組みとして使えないか?と妄想してみました。

その名の通り、AI バディは、エンジニアに寄り添って開発を手助けしてくれます。

例えば、AIバディが、箱庭上でシミュレーションした結果(ロギング情報)にアクセスして問題解決を一緒に手伝ってくれるようなケースは容易に想像できます。

一方で、各AI バディが箱庭空間上で他のAIバディと横に繋がり始めたらどうなるでしょう?ちょっとワクワクしません?

AIバディの横のつながりが、エンジニア間のコミュニケーション・ギャップ解消を図れるのではないか?というのが、このAIバディを開発したいと思ったきっかけでした。

もしこれが実現できれば、箱庭で開発していると職種を越えて、AIバディが他のエンジニア向けに翻訳・調停をしてくれるといったことができるようになるのではないかと自分は考えています。

Generative Agents: Interactive Simulacra of Human Behavior

そんなことを妄想しながら、AIバディをどうやって作るのか?モヤモヤしていたところ、「Generative Agents: Interactive Simulacra of Human Behavior」という論文に出会いました。

この論文では、ChatGPT(gpt3.5-turbo)で制御された25人のAIエージェントが、2Dのゲーム空間で2日間、生活をし続けたら、社会的な行動の創発が観測されたというものです。とても興味深いと思いました。

以下、この論文のサマリを自分なりにまとめたものです。

そして、この論文の中で特に重要だと自分が感じたポイントは、単にChatGPTの機能を使うだけではダメで、記憶(メモリストリーム)に基づく省察(リフレクション)というアーキテクチャの存在でした。

この論文のリフレクションを自分なりの解釈した結果ははこうです。

「リフレクションは、重要性のスコアが高い記憶に基づいて省察(せいさつ)し、より抽象度の高いレベルの洞察や思考に昇華された高レベルな記憶です。エージェントは、観察や既存のリフレクションに基づいて新たなリフレクションを生成し、それらをメモリストリームに追加します。このプロセスにより、エージェントは異なる状況や経験に対してより一般的な知識や理解を適用できるようになります。」

つまり、事実ベースで記憶した情報からより高度なレベルの知識に昇華させるものがリフレクションという理解です。

これをAIバディに当てはめるとするならば、AIバディは、担当するエンジニアの発言(事実)をベースにして、リフレクションを行うことで、そのエンジニアを深く理解できるというわけです。

さらに、そのAIバディ達が、この論文のように箱庭空間の中で互いに会話をし続けると、作っているシステムや関わっているエンジニア達のことを深く理解して、より良いアドバイスをしてくれるようになるのではないか?と考えました。

そして、このリフレクションの仕組みを自分なりに試してみたいと思い、以下の2つの取り組みをしました。

  • ドキュメント問い合わせに特化したAIエージェント
  • 人を褒めることに特化したメンターAIエージェント

どちらも同じリフレクションの仕組みを使って、2つのケースで面白い結果が得られました。

次回は、これらの内容をもう少し踏み込んで紹介したいと思います。


“ChatGPTを活用したコミュニケーション・プラットフォームとしての箱庭構想” への2件のフィードバック

  1. […] 前回、箱庭AIバディというAIエージェントの実現のために、リフレクション(省察)の仕組みがキーテクノロジーになりえると予感したことをお話ししました。 […]

  2. […] ChatGPTを活用したコミュニケーション・プラットフォームとしての箱庭構想 […]

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