🛠 箱庭ラボ日記──2025年12月17日


ぼくは、司馬遼太郎作品のなかでも、「項羽と劉邦」が大好きです。

強さの象徴、「項羽」。

弱さの象徴、「劉邦」。

あー、この対比、すごく面白い。

もう年末ですね。

先月からの出張続きが、嘘のように、今週は開発に専念できる週です。
でも、明後日には、また出張が待っています。今年最後の出張場所は、神戸です。

思い返せば、8月1日。
いつものトリオメンバ
(牧野さん、岡田さん、ぼく)で、大阪に行きました。
あの日は、暑かった。

その日は 8月1日(金)
兵庫県さま・QUINT BRIDGEさま主催の
「DRONE HYOGO MEETUPセミナー」にて、
箱庭ドローンシミュレータのデモを行いました。

当時は、
正直なところ、
「どこまで伝わるだろうか」
そんな不安もありました。

それでも、
箱庭ドローンが目の前のスクリーンでドローンが飛び、
QUEST3装着してドローン操縦された体験・空気感が
バシバシと参加者の方々に感動をともなって伝わった、そんな日でした。

その時の発表の様子が、こちらです。

あれから、4ヶ月。

今週の金曜日、
また、その時の人たちと一緒に、
ドローンの新しいビジネスについて語る場に参加します。

今日は。

そんなことを思いながら、今週は、デモ動画を作らねば…とモヤモヤしながらも。

12月29日に、箱庭ドローンv3.5.0 のリリースを目指しているという事情もあり、あれこれ考えながら手を動かす、そんな週なんです。

で、今日は、牧野さんを含めた、箱庭ラボのビジネス会議がありました。

いつものように、淡々とぼくが話を進める中、技術の話に入った瞬間、牧野さんのギアが上がりました。

「デモ動画さー、10台でやった方が良くない?」

はい、引きました……。

いやー、10台ってね、
ちゃんとやれるかどうか、まだ自信がない。
先週、2台でやったのが精一杯。
なんで、いきなり10台なんですか……。

みなさん、ありますよね。そういう無茶振り。

3台目やるか。

ぼくもエンジニアです。そうまで言われたらね。10台はおいといとして、3台目やるかって思いますよー。

で、愛用のノートとペン持ち出して、
・ドローンの台数を増やす時に発生するコンフィグファイル群をリストアップ
・2台のコンフィグに1台ふやした時の作業量を推測
……あー、単純ワークやん。

はい、gemini cli を立ち上げましたよ。

で、ぱらぱらっと作業していたら、

3台同時シミュレーション、普通に行けました。

「いや、だってね、
  そういう設計しているから、やれるんだよ。」

って、自画自賛。

で、次の一言。

「で、4台目やってみる?」

悪魔の囁き。

……やるか。


アホですねー。
で、「やってみるか」となる。
もう、完全に牧野さんの術中にはまっている。

「……うごいた!」

あー、これは、もうあかん。10台、やろ。
やるしかない。

うごいたよー。

…1時間くらいかかりました。


そして、、、


動いちゃいました。しかも、CPUも静か。普通にサクサク動いている。

まじかー。

CPUもわりと空いている。

劉邦ってね。

ぼくは、正直なところ、
あんまり、劉邦は好きじゃありません。

優柔不断だし、
失敗も多いし、
決して、かっこよくはない。

でもね。

彼の周りには、
不思議と、人が集まるんですよね。

張良、韓信、蕭何、樊噲、陳平……。
数え上げたら、キリがありません。

しかも、その一人ひとりが、とてつもない天才たちなんですよ。

劉邦は、全部を自分でやろうとしない。

器ってありますよね。
あれ、何かを入れるための道具なんです。

でもね。
そこにいろんな供物で満たされていたとしたら、だれがそこに入ろうと思いますか。
劉邦は、その器が本当に広くて深い。

あー、そうか。と僕は、若いながらも、
司馬遼太郎さんの語りっぷりを聴きながらそう感じました。

箱庭という器について

ぼくは、「箱庭」なんてものを作っている。

正直に言うと、
 ぼくは営業が得意なタイプじゃない。
 数字で語ったり、
 企業のメリット・デメリットを整理して、
 うまく売り込む、みたいなことは、
機能的に備わっていない。

たぶん、
そういう世界とは、
少し違うところで生きてきたんだと思います。

それでも、
 箱庭というものを、
 世の中に出したい、という思いだけは、
ずっと、あります。

いやー、矛盾してますよね。

たぶん、
ぼくが苦手なのは、
「売る」という行為そのものじゃなくて、
壊れやすいものを、
雑に扱ってしまうことなんだと思います。

箱庭って、「純粋で、繊細で、簡単に壊れてしまう」ものです。

もし、そんなものが、目の前にあったとしたら。

自分にできることが、何かあるんじゃないか。そう思ってしまう。

「善人なおもて往生をとぐ、まして悪人においてをや。」

子供が、井戸に落ちそうになっているのを見て、手を差し伸べない人が、いるでしょうか。

劉邦って、そんな存在だったんだと思うんです。

さいごに

すみません、だいぶ脱線しましたね。

ぼくが冒頭でお話ししました「劉邦の弱さ」とは

  • 優柔不断
  • 失敗も多い
  • かっこよくない

でも、だからこそ:

  • 器が空いている
  • 人がはいる余地がある
  • 純粋で繊細なものを、雑に扱わない

これ、箱庭そのものじゃないかって思ったんですよね。

ただ弱い存在が、なんかわからないけど、偶然の出来ごととかちょっとしたプライドとか、なんかそういうのがあいまって、フワフワと成長する、そんな物語が面白いなと。

それでも、劉邦は──

300年続く「漢」という国をつくりました。

おしまい。


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