ぼくは、子どもの頃、絵を描くことが好きでした。
とくに、キン肉マンとか、ロビンマスクとかね。(時代感じる)
もうね、一筆書きで描けるようになるまで、何度も何度も描き直しました。
鉛筆を削り、紙を変え、納得いくまで。
気づけば、友達に
「すげー、描き方教えて!」
と言われるようになっていました。
えへん。
そういえば。
中学生の頃、美術の授業がありました。
そう、近くの公園で、風景画を描く授業です。
小春日和で、
ベンチがあって、
少し芽吹き始めた木があって、
遠くに遊具が見える。
ありふれた風景でした。
水彩画のテーマでしたね。
いつものように、絵の具を手に取り、
チューブを押してパレットに色を出す。
あの、出したばかりの絵の具のツヤ。
あれ、たまらないですよね。
ぼくは、そのツヤ感が大好きでしてね。
…
そして、目の前にある、あの大きな木。
いわゆる「木」っていうよりは、
その幹の、
細かな「木肌の美しさ」
に惹かれました。
そう、その感動を、どうしても表現したくなったんです。
そして、絵の具を、重ね、
また、重ねる。
ゴリゴリ、ゴリゴリ・・・・(夢中で描き始めました。
そして、気づけば、
画用紙は凸凹が目立つ、
そして美しい木肌が
あらわれていました。
で、先生のところへ行きました。
「先生、できました!」
自信満々で。
ほしたら――
「今日は、水彩画の授業だったんだよね…。」
「これ、油彩画、だね…。」
え?
水彩画って、なに?
ぼくは、ポカーンとしていました。
(授業聞いてませんでした、ごめん)
先生は少し困った顔をしながら、
でも、最後にこう言ってくれました。
「でも、悪くはないよ。」
って。ありがとう、先生。
ちょっと時間が空いたので、ノートを見返してたら、
こんなのが出てきました。

(箱庭コンダクターの設計図)
びっしりと書き込まれた線と矢印…
今となっては、自分でも何を考えていたのか思い出せません。
でも、きっとあの時と同じで、
夢中で描き始めてしまったんでしょうね。
箱庭 Runtime Delegationは本当に難しかった。
夢中で作りました。
この2ヶ月半。
設計から始めて、何度も脳内でデバッグしました。
数えてみたら、四十回以上、改版を重ねています。
その当時は、何回描いても納得いかなくて、
設計をいったん棚上げし、実装に舵を切りました。
より上位の設計に必要な
“下の実体”
を、まずは突貫で作る。
かっこいい設計図だけ渡されても、
道具箱には何も入っていない。
そんな状態では、釘一本打てません。
だから、作った。
まずは、動くものを。
その実装を見て、
本当にRDが成立するのかを
早く、とにかく早く、
見極めしたかった。
たぶん、ぼくのやり方は異端です。
でもね。
ユーザも見えない。
だれからも求められていない。
だからこそ、最短で作り、可能性を確かめたかった。
とにかく、動くものを作る。
現実なのか、幻想なのかを、早く見極めたかった。
4月にTOPPERSの技術検討会議で発表してきます。
正直、
今回作ったものは、
ぼくなりに、相当満足しています。
(切り替え時間は論理時間で30〜40ms以内ですよ)
「先生!できましたー!!!」
って勢いです。
でもね。
もう一人の自分が、
こう言うんです。
「うん、これは複雑すぎるね。」
そう。油絵です。
凸凹だらけ。
水彩画じゃないんだよなー。
あはははーー。
でもね。
「悪くない」
って思える。そんな自分もいます。
荒削りかもしれない。
でも、きっと可能性はある。
だから――
ビジネス云々はひとまず置いておいて、
技術として。
学術として。
ちゃんと整理して、
伝えてみようと思っています。
今日は、発表資料をボヤボヤと作ってました。
描きながら、ふと思ったんです。
結局、箱庭 Runtime Delegationって、
何がそんなに難しかったんだろう?
その本質は、何だったんだろう?
そして――
これは、伝えなければならないことなのでは?
そう思って描いた絵が、これです。

この例で言いますと、パソコン3台ありまして。
cli-01のパソコンで動いているシミュレーションを、
その途中状態のまま、
狂いなくcli-02のパソコンへ引き継ぐ。
シミュレーションは止めずに。
しかも、
通信の配管を矛盾なく再構成し、
古い通信データはすべて安全に破棄する。
そんなとこですわ。
これを、汎用フレームワークとして用意する。
たんに、それだけのことなんですけどね。
「こういう世界があればいいよね」
と言う人はいるかもしれない。
「ああ、これ難しいやつだ」
と気づく人もいるかもしれない。
でも、
「よし、やってみよう」
と手を動かす人は――
まあ、変人だと思います。
ぼくはやりました。
だれからも求められていないのに。
ただ、
「こういう世界があったほうが面白い」
それだけで。
あほやなー、と
ビジネスパーソンは言うでしょう。
いいんです。
でも、
そういうのがあっても、
いいじゃないですか。
そっちのほうが楽しいよ。きっと。
おしまい。

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