大阪・関西万博出展の舞台裏で協力してくださった方々の物語集 [第七話]


第六話「格闘編」にて、

牧野さんは新しい技術――BlenderとUnity――に挑み、

数々の試練と格闘を続けてきました。

しかし、挑戦の中で、 Unityおじさん、そして箱庭ラボの森さんの協力を通して、
牧野さんは再び前を向き、新しいチャレンジへと踏み出しました。

それが、「バーチャル東尋坊」の世界づくりです。

東尋坊を、バーチャルに描く

視線操作で体験する「バーチャル東尋坊」シーンの制作。
言葉にすれば簡単ですが、実際はまたしても数々の壁が待ち構えていました。

人のモデルを配置する

「東尋坊といえば、やっぱり崖っぷちに人を置きたいよね」
そんな想いから、新たな挑戦が始まります。

Unityおじさんに相談すると――
「VRoid Studioってのを使うと人のモデルが作れるよ!」
との助言。

聞き慣れないツール…。

けれど、迷っている暇はありません。
“初めてのキーワード”を頼りに、
牧野さんは再びチャレンジを開始しました。

VRoid Studioは、3Dアバターを作るツールです。
フリー素材を活かし、直感的に人の姿を生み出せます。

操作を覚えながら、ついに

崖っぷちに立つ人

が完成しました。

Unityへの取り込みとアニメーション

しかしです。モデルをUnityに取り込んだのに、

「動かない。」

そう、アニメーションがついていないのです。

再びUnityおじさんに相談。

「Unityのアセットから、それっぽい動きを選んで配置するといいよ」

なるほど。ゲームエンジンらしい解決策でした。

一歩ずつ進めることで、牧野さんは“動く人”をつくり出しました。

看板の配置とフェードアウトの壁

バーチャル東尋坊のシーンに必要なのは、人だけではありません。
「目標物」になる看板の設置も重要な要素でした。

Unityのアセットから看板を取り込み、配置……と思いきや。
画面に現れたのは、ピンクの看板

「な、なんでピンク!?」

 どうやら、テクスチャが設定されていなかったのです。

再びUnityおじさんの助言を受け、
自作テクスチャを配置しました。

(看板にテクスチャを割り当てしている様子)

そして、ついに、“東尋坊の看板”が完成しました!

最後の壁は、フェードアウトの演出でした。

アセットを作り、スクリプトを書き、メインカメラの前に配置する。
順調に見えましたが、またしても思わぬ落とし穴が。

箱庭ドローンシミュレータのUIが反応しなくなったのです。

「STARTボタンが押せない!」

原因は、RayCastTargetの設定。

Unityおじさん、そして生成AIくんにも相談し、
同時に「それだ!」という回答を得て解決しました。

こうして、バーチャル東尋坊のアプリケーションは完成へと近づきます。

万博を終えて

万博本番を終えたあと、牧野さんは病み上がりの身体を休めながら、
静かに自分を振り返っていました。

「配慮が足りなかったな……」「もう少し、丁寧にできたはずだ」
そんな思いが胸をよぎります。

しかし、そのとき。
奥さんの一言が、再び牧野さんを動かしました。

「ねえ、『笑ってコラえて!』でスターウォーズ特集やるよ!」

ミレニアム・ファルコンを作った人

番組で紹介されていたのは、ルーカスフィルムで
ミレニアム・ファルコンを作った日本人CGクリエータ・成田昌隆さんでした。

45歳でCGクリエイターを目指して、
最終的にはルーカスフィルムでミレニアム・ファルコンを作ってしまった人。

3Dモデルを作る様子が番組で流れた際に、ハッとしました。
企画からの絵コンテではノッペり2Dの絵しかなく、そこから想像を膨らまして、
パーツを構想して、パーツを細かいところからコツコツ作って、
それらを組み合わせていくことで、最終的な3Dモデルを作る

…なるほど、リアリティを追及すれば、そうなるか…
コツコツスキルを上げるしかない

R2-KTの物語

さらに、番組の後半では第501軍団の活動が紹介されていました。

この団体は、スターウォーズのダークサイドの衣装を身にまとい、
病院や施設でボランティア活動を行うファンたちです。

その中で語られたのが――R2-KTの物語。

脳腫瘍を患った少女のために、仲間たちが自分のR2-D2をピンクに塗り、
少女のそばに寄り添うために贈ったという話でした。

少女が亡くなったあとも、
そのR2-KTは病気と闘う子どもたちの希望として動き続けています。

心に響くMaking:R2-KTの物語

再び歩き出す

その番組を見てから、牧野さんは再び思ったのです。

箱庭ドローンシミュレータを通じて、人の役に立つ活動がしたい。
特に、子どもたちや病気と闘う人たちに。

その想いを胸に、牧野さんの“修行の旅”は続きます。

コツコツ・丁寧に。

エピローグ:次の世代へ

少し時間が経ってから、牧野さんは自ら勉強したUnityの入門書を、お子さん渡されました。

そして、少しずつですが、勉強を進めておられるようです。

がんばれ!

「英雄の物語」は、
いつだって
 “今”を ――“もがきながら”――
生きる誰かの中にあります。

そして、その灯は、
 次の誰かの“はじまり”となり、
静かに、つながっていくのだと思います。


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